埼玉県は東京への通勤圏として知られていますが、県内に本社を置く大企業の数は東京・神奈川と比べて少なく、中小企業が多い地域です。厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2023年)で、企業規模別賃金の実態を見てみましょう。

埼玉県 企業規模別・年齢別 所定内給与額(2023年・男女計)

年齢1,000人以上100〜999人10〜99人大vs小の差
年齢計371.2千円348.4千円315.6千円+55.6千円
20〜24歳251.3千円248.7千円238.4千円+12.9千円
25〜29歳301.4千円293.2千円274.8千円+26.6千円
30〜34歳341.6千円326.4千円294.7千円+46.9千円
40〜44歳411.3千円378.6千円326.8千円+84.5千円
50〜54歳451.2千円404.7千円338.5千円+112.7千円
55〜59歳461.8千円412.3千円343.2千円+118.6千円

埼玉の格差は東京より大きい

東京都の55〜59歳での大vs小の差は103.2千円でしたが、埼玉では118.6千円とより大きな格差があります。これは埼玉の小企業(10〜99人)の賃金水準が343.2千円と東京(428.4千円)より大幅に低いためです。

一方、大企業(1,000人以上)は461.8千円と東京の531.6千円より低いものの、一定水準は確保されています。

埼玉に大企業が少ない理由と対策

埼玉県に本社を置く上場企業数は約200社(東京の約3,400社と比べて少ない)。多くの「大企業勤務の埼玉県民」は実は東京本社に通勤しています。

就業場所ではなく居住地で調査する賃金構造基本統計では、東京通勤者も埼玉県民として集計されるため、高賃金の東京大企業勤務者が埼玉の賃金水準を押し上げているという側面もあります。

中小企業で働く場合の現実

埼玉県の中小企業(10〜99人)の年齢計賃金は315.6千円(約31.6万円)。東京の中小企業(385.7千円)と比べて70千円以上低く、生活コスト(家賃等)は埼玉が安いとはいえ差は大きいです。

ただし、埼玉は首都圏の物流拠点として発展しており:

  • 物流・倉庫業の中堅企業が集積(25〜30万円台の安定雇用)
  • さいたま市周辺のオフィスビル集積(IT・サービス系の中小も増加)
  • 製造業の大手サプライチェーン下請け(規模は小さくても技術力が高い企業も)

といった企業が存在し、中小企業でも安定した雇用が見つかる地域です。

「埼玉在住・東京勤務」という選択

賃金格差の現実を踏まえると、埼玉在住で東京の大企業に勤務するという選択は経済的に合理的です。東京と比べた家賃節約(月2〜5万円程度)に加えて、埼玉発着の通勤定期は会社負担が多く、実質的な可処分所得は東京居住者に近くなります。

まとめ

  • 埼玉の大企業(1000人以上)と小企業(10〜99人)の55〜59歳での差は月11.8万円
  • 格差幅は東京(10.3万円)より大きく、小企業の賃金水準が相対的に低い
  • 埼玉居住の大企業勤務者の多くは実際には東京へ通勤
  • 物流・製造の中堅企業、さいたま市のオフィス系で安定就業も可能

出典:厚生労働省 賃金構造基本統計調査(2023年)