「男女の賃金格差は縮まっているのか?」——社会的関心は高いものの、実際の数字で追う機会は少ないです。神奈川県のデータ(厚生労働省 賃金構造基本統計調査)を使い、2020〜2023年の4年間で男女賃金比がどう変化したかを検証します。
神奈川県 男女賃金の推移(年齢計・所定内給与額)
| 年 | 男性(千円) | 女性(千円) | 女性÷男性 |
|---|---|---|---|
| 2020年 | 390.7 | 297.4 | 76.1% |
| 2021年 | 392.3 | 299.8 | 76.5% |
| 2022年 | 399.6 | 306.3 | 76.6% |
| 2023年 | 408.5 | 314.4 | 76.9% |
4年で女性比は0.8ポイント改善
2020年の女性比76.1%が2023年には76.9%へ。改善幅は0.8ポイントです。緩やかではありますが、着実に格差は縮小の方向にあります。
絶対額で見ると、男性は17.8千円(+4.6%)増加した一方、女性は17.0千円(+5.7%)増加しており、女性の賃金上昇率がわずかに男性を上回っています。
年代別の変化——30代・40代で改善が進む
| 年齢 | 2020年 女性比 | 2023年 女性比 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 97.1% | 97.4% | +0.3pt |
| 25〜29歳 | 91.2% | 91.8% | +0.6pt |
| 30〜34歳 | 82.1% | 83.2% | +1.1pt |
| 35〜39歳 | 77.3% | 78.8% | +1.5pt |
| 40〜44歳 | 73.8% | 75.1% | +1.3pt |
| 45〜49歳 | 72.1% | 73.6% | +1.5pt |
| 50〜54歳 | 70.4% | 71.8% | +1.4pt |
| 55〜59歳 | 65.8% | 67.2% | +1.4pt |
30代〜50代で1〜1.5ポイントの改善が見られます。これは:
① 育休取得率の向上と復職後の処遇改善
政府・企業の取り組みにより、育休後の正規雇用維持・賃金維持が徐々に改善。30〜40代女性の正規雇用率が上昇しています。
② 女性管理職登用の促進
神奈川県内の大手企業を中心に、女性管理職比率向上の目標を設定する企業が増加。40〜50代での管理職への登用が増えた影響が数字に現れています。
③ 最低賃金の引き上げ効果
2020〜2023年にかけて神奈川県の最低賃金は1,040円→1,112円に上昇(+7.2%)。パート・アルバイト労働者に占める女性比率が高いため、この恩恵は女性に大きく現れます。
コロナ禍の影響:2021年は一時停滞
2020→2021年の改善は0.4ポイントと小幅です。コロナ禍で宿泊・飲食・サービス業が打撃を受け、これらの業種で働く女性が多かったため、一時的に格差縮小が停滞した可能性があります。
まだ遠い「完全平等」
現在のペース(0.8ポイント/4年 = 0.2pt/年)で改善が続くと仮定した場合、女性比が100%(完全平等)になるには残り23%÷0.2pt = 約115年かかります。制度・文化の抜本的な変革なしには、格差解消は遠い目標です。
まとめ
- 神奈川県の男女賃金比は2020〜2023年で76.1%→76.9%へ改善
- 30〜50代で1〜1.5ポイントの改善が見られる
- 改善要因:育休復職後の処遇改善・女性管理職登用・最低賃金引き上げ
- ただし現在のペースでは完全平等まで百年以上かかる計算
出典:厚生労働省 賃金構造基本統計調査(2020〜2023年)