この記事でわかること

2023年の関東7都県では、所定内給与額が最も高い東京都39万7,000円と、最も低い群馬県32万6,600円の間に月7万400円の差があります。ただし3位には東京近郊県ではなく栃木県が入ります。この記事では、順位だけで終わらせず、本社・専門職が集まる南関東と、県内製造業が支える北関東という二つの稼ぎ方を読み解きます。

関東7都県の所定内給与額ランキング(2023年・年齢計・男女計)

順位都県所定内給与額(月額)月額×12の目安
1位東京都397,000円約476万円
2位神奈川県384,100円約461万円
3位栃木県355,400円約426万円
4位埼玉県347,300円約417万円
5位茨城県340,600円約409万円
6位千葉県337,800円約405万円
7位群馬県326,600円約392万円
東京都 397,000円 所定内給与額(月額)
神奈川県 384,100円 所定内給与額(月額)
栃木県 355,400円 所定内給与額(月額)

上位2都県と3位以下で賃金構造が分かれる

東京都は39万7,000円、神奈川県は38万4,100円で、差は1万2,900円です。一方、神奈川県と3位・栃木県の間には2万8,700円の開きがあります。関東の賃金分布は、東京と神奈川が先頭を走り、その後ろに栃木、埼玉、茨城、千葉、群馬が並ぶ二段構造です。

最も注目したいのは栃木県の3位です。東京都心への近さだけで順位が決まるなら埼玉県や千葉県が上に来るはずですが、実際には栃木県が上回りました。月額を12倍した単純な目安では、東京都と群馬県で約84万円の差になります。

東京の本社集積と栃木の製造業が同じ表に表れている

地域背景の読み解き

東京都では千代田区・港区・中央区に大企業本社、金融、商社、外資系企業が集中し、渋谷区を含めIT・専門職の厚みが平均を押し上げます。神奈川県も横浜のみなとみらいに日産自動車や富士フイルムビジネスイノベーション、川崎に富士通・NECなどの拠点を抱え、高付加価値の雇用が多い地域です。

一方、栃木県の強さは東京通勤では説明できません。芳賀・上三川・真岡周辺にホンダ、日産、キヤノンなどの製造・研究拠点が集まり、県内で働く技術職が賃金を支えています。茨城はつくばの研究機関、日立の企業集積、鹿島臨海工業地帯、群馬は太田・大泉のSUBARU関連産業が核です。同じ順位表でも、南関東は本社・専門職、北関東は製造・研究開発という異なる産業地図が重なっています。

読み取りの注意点

読む前の注意

このランキングは所定内給与額の比較であり、賞与、時間外手当、歩合給などは含みません。また、年齢計・男女計なので、都県ごとの年齢構成、産業構成、企業規模構成の違いも影響します。

そのため、この表から直接確認できるのは「2023年の月額賃金の公表順位と差」であり、生活費や可処分所得までを示すものではありません。

まとめ|関東の賃金差は距離より仕事の集積で決まる

この記事の結論

東京都・神奈川県が高いのは都心への近さそのものではなく、高賃金の本社機能・専門職・研究開発職を厚く抱えているからです。 そして栃木県の3位は、大手製造業の県内雇用が東京通勤に頼らなくても賃金を押し上げることを示しています。

  • 1位の東京都と7位の群馬県の差は月7万400円
  • 神奈川県と東京都の差は1万2,900円で、上位2都県は近い
  • 栃木県はホンダ・日産・キヤノンなどの製造業集積を背景に3位
  • この表は「暮らしやすさ」ではなく「高賃金の仕事がどこにあるか」の順位として読むべき

出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査(2023年)」


📊 分析ノート

  • 使用統計:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(統計表ID:0003426933、e-Statで見る
  • 対象地域:関東7都県
  • 対象年:2023年
  • データ取得日:2026年6月6日
  • 注意点:本文では公表統計の数値を中心に整理しています。背景要因の解釈には、産業構成・年齢構成・企業規模構成など本文外の要素も関わるため、統計表から直接確認できる数値と解釈は分けて読む必要があります。

※ グラフ・表の数値は上記統計データをもとに独自に集計・可視化したものです。