「同じ会社に入っても男女で給料が違う」という話を聞いたことがある人は多いでしょう。しかし、実際のデータを見ると、20代の男女賃金は関東のほぼ全都県でほぼ同水準です。厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2023年)のデータで検証してみます。
関東7都県 20〜24歳の男女別所定内給与額(2023年)
| 都県 | 男性(千円) | 女性(千円) | 女性÷男性 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 267.6 | 261.4 | 97.7% |
| 神奈川県 | 258.3 | 251.6 | 97.4% |
| 埼玉県 | 247.2 | 241.3 | 97.6% |
| 千葉県 | 243.8 | 237.9 | 97.6% |
| 茨城県 | 238.5 | 231.4 | 97.0% |
| 栃木県 | 241.7 | 235.2 | 97.3% |
| 群馬県 | 236.4 | 229.8 | 97.2% |
25〜29歳の男女別所定内給与額(2023年)
| 都県 | 男性(千円) | 女性(千円) | 女性÷男性 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 322.7 | 299.9 | 92.9% |
| 神奈川県 | 310.4 | 285.1 | 91.8% |
| 埼玉県 | 296.3 | 270.8 | 91.4% |
| 千葉県 | 290.7 | 266.9 | 91.8% |
| 茨城県 | 285.6 | 259.3 | 90.8% |
| 栃木県 | 292.1 | 265.7 | 91.0% |
| 群馬県 | 280.8 | 254.6 | 90.6% |
20〜24歳:ほぼ同水準——「初任給差別」は少ない
20〜24歳の女性比は全都県で97〜98%台。月額にすると男女差は5〜7千円程度です。同じ学歴・職種で就職した場合、初任給レベルの男女差は実質的にほとんどないと言えます。
これは、多くの企業が初任給を「学歴・職種」で決定し、性別による差をつけにくい(労働基準法・男女雇用機会均等法の観点から)という制度的な側面があります。また、就職後間もない段階では昇進・昇格の差が出ておらず、基本給がほぼ同じになります。
25〜29歳:8〜9%差が生じる——「見えない格差」
しかし25〜29歳になると差は8〜9%に拡大します。この年代は「初めての昇進・昇格」の時期であり、査定による差が生まれ始めます。また:
- 長時間残業:残業時間が多いポジションに男性が多く就く傾向
- 転勤・異動:広域転勤できる男性が昇進しやすい企業文化
- 職種選択の違い:女性が事務・内勤に集中しやすい業界構造
といった要因が、25〜29歳以降の賃金格差の芽になっています。
都県別の特徴
東京都は20〜24歳の賃金水準が最も高く(男性267.6千円)、女性との差も他都県と同様の小ささ(97.7%)。一方で25〜29歳になると賃金は大きく伸びますが、女性の伸びは男性ほどではなく(女性比92.9%)、格差の拡大ペースが始まります。
群馬県は水準こそ最も低いですが、20〜24歳の女性比は97.2%。北関東の製造業中心の地域でも、若手の男女格差は小さいことが確認できます。
就活生・若手社会人へのメッセージ
20代前半の男女賃金差は小さく、最初から「差をつけられる」わけではありません。しかし30代以降に差が急拡大するパターンが全都県で共通しています。就職先を選ぶ際には:
- 育休・時短後のキャリアパスが整備されているか
- 女性管理職の比率はどうか
- 残業を前提としない働き方ができるか
といった観点が、長期的な賃金格差を左右します。
まとめ
- 20〜24歳の男女賃金差は関東全都県で2〜3%程度(実質ほぼ同水準)
- 25〜29歳になると8〜9%差に拡大し始める
- 初任給レベルの性別差は少ないが、20代後半から「見えない格差」が生まれる
- 就職先選びでは長期的なキャリアパス・育休後の処遇を確認することが重要
出典:厚生労働省 賃金構造基本統計調査(2023年)