「東京で働けば男女格差は少ない」——そんなイメージを持つ人は多いでしょう。確かに、東京は日本全体の中でも女性の就業率が高く、専門職・管理職に就く女性も多い都市です。しかし、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2023年)のデータを見ると、東京都においても年齢が上がるにつれて男女の賃金差が顕著に拡大することが分かります。

東京都 年齢別・男女別 所定内給与額(2023年)

年齢階級男性(千円)女性(千円)女性÷男性
20〜24歳267.6261.497.7%
25〜29歳322.7299.992.9%
30〜34歳377.4320.684.9%
35〜39歳432.3344.079.6%
40〜44歳464.8355.876.6%
45〜49歳500.5362.772.5%
50〜54歳519.0373.471.9%
55〜59歳544.1372.568.5%

※出典:厚生労働省 賃金構造基本統計調査(2023年)企業規模計・産業計

20代は格差が小さい——東京の若手は男女ほぼ同水準

20〜24歳では男性267.6千円・女性261.4千円と差は6.2千円(女性比97.7%)。25〜29歳でも女性は男性の92.9%を確保しており、東京の20代は実質的に男女ほぼ同水準と言えます。

この背景には、大学・大学院卒の割合が高い東京において、初任給・若手の給与体系が能力・学歴基準で設定されており、性別差が出にくいことが挙げられます。外資系企業・IT企業が多く集積する東京の特性も、男女平等な賃金設定につながっています。

30代から急速に開く格差——その背景

30〜34歳では女性比が84.9%に下がり、40〜44歳では76.6%、55〜59歳では68.5%と、年齢が上がるほど格差は拡大します。

この「30代の壁」の背景として挙げられる要因:

① 育児・出産による就業調整
30代前半は出産・育児が重なる時期です。育休取得後に時短勤務に移行する女性が多く、賃金が抑制されます。男性の育休取得率は近年上昇していますが、管理職への昇進に伴う実質的な長時間労働との両立は依然として難しい状況です。

② 管理職への登用格差
40代以降の賃金上昇は管理職・専門職への昇進と連動しています。東京都の企業でも、課長級以上の女性比率はまだ低く(全国平均約12%)、これが賃金格差の拡大につながっています。

③ 産業・職種の違い
女性が多い職種(事務職、サービス業など)は賃金水準が相対的に低く、男性が多い金融・IT・専門職は高い傾向があります。

東京の格差は全国より小さいが…

神奈川県の同年代比較(既存記事参照)では、55〜59歳の女性比は約65%前後。東京の68.5%はやや大きく開いているように見えますが、全国平均では55〜59歳で女性比が60%台前半になる都道府県も多く、東京は相対的に格差が小さい地域です。

それでも、55〜59歳で男女の月収差は171.6千円(約17万円)。年換算では205万円以上の差が生じており、生涯賃金では数千万円の格差になります。

まとめ

  • 東京都の男女賃金格差は20代では極めて小さい(女性比97.7%)
  • 30代から急速に格差が拡大し、50代では30%以上の差に
  • 管理職登用・育児休業後の処遇・職種分布が格差の主因
  • 全国比較では東京の格差は小さめだが、依然として見過ごせない水準

出典:厚生労働省 賃金構造基本統計調査(2023年) e-Stat政府統計ポータル